コンプライアンス関連事件」のブログ記事

前回に引き続き不二家事件の問題点について,果たして自浄作用発揮の余地はなかったのかを考えてみたいと思います。

今回より数回にわけて、マスコミを騒がせた「不二家事件」について、どのような問題があったのか、について検証してみたいと思います。

引き続き掲題の事例について考えてみたいと思います。

果たして今回の事例について、自浄作用を発揮する余地はなかったのでしょうか?

(事例の概要はこちら)

前回に引き続き,問題社員を解雇しようとしたところ,会社の違法行為の内部通報に至った事例について考えてみたいと思います。

本事例については、依願退職を条件として,解雇の撤回と実労働時間ベースでの過去1年分の残業手当支払いに応じる内容で和解が成立しましたが、もしソフトランディングに失敗していたらどのような事態が想定されたでしょう?

外食産業A社では,日頃勤務態度が極めて悪く,遅刻常習で,業務成績も不振が続く支店長Bを解雇しようとしたところ,BはA社に対し未払い残業手当の支払いを求めるとともに,同社の外部相談窓口に対して,残業手当未払いの事実を通報した。

 本件では,取引業者からの指摘を受けて会社として調査した結果,我が国内での未承認酸化防止剤が使用されていたというのですから,即刻その使用,並びにその混入した商品の販売を中止すると共に,製作済み商品の全品廃棄を速やかに実施すべきでした。しかし,実際には検査中の販売継続は最初からの方針だったことが露見するに至り,社会的なひんしゅくを買ったものです。
 前回に続いて,今回は,取引業者の指摘で判明した違法行為を改善・公表することなく,むしろその隠蔽を図ったことが後日発覚するに至ったケースとして,ミスタードーナツ事件を紹介します。

本件では,一審判決においても唐突な印象と前置きされているものの,通報者から副社長への直訴,及び岐阜営業所長への直訴がなされています。これらは,ヤミカルテルそのものについてのものではなく,法令違反という意味では程度の小さい中継料問題についてのものではありますが,しかし,この直訴が無視されたことをもって,被告会社においては自浄作用を期待することはできないとの帰結が導かれている点は重要です。
 前々回に続き,トナミ運輸事件の一審判決と控訴審での和解をご紹介します。