ミスタードーナツ事件(2)~いかに初期対応すべきだったか?

 本件では,取引業者からの指摘を受けて会社として調査した結果,我が国内での未承認酸化防止剤が使用されていたというのですから,即刻その使用,並びにその混入した商品の販売を中止すると共に,製作済み商品の全品廃棄を速やかに実施すべきでした。しかし,実際には検査中の販売継続は最初からの方針だったことが露見するに至り,社会的なひんしゅくを買ったものです。
ここでは,コンプライアンスに対する意識の不十分さが顕著であったというほかありません。いったん認識した問題への対処ですら,それ以上に公にならなけれ ばそれでよしとの対応であった訳ですから,未だ発覚していない問題があるのではとのいらぬ憶測に伴う信用失墜も当然避けられないところと言うべきでしょう (信用は失うのは容易ですが,それを得るためには大変な苦労を伴うものです)。

 コンプライアンスの確立に当たり,違法行為の是正は当然のことですが,一時期とはいえどもそれを隠蔽して違法行為を続行し利益を上げようとする姿勢は,当該利益程度ではすまない膨大な損失を生じるものであることを,教えてくれる事例です。

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