社内調査で発覚した違法行為の,隠蔽を指示した事例~不二家事件(1)

今回より数回にわけて、マスコミを騒がせた「不二家事件」について、どのような問題があったのか、について検証してみたいと思います。

事案の概要

【不二家の公表資料より抜粋】

事実経過について,不二家側が公表したところによると,概ね次の通りである(以下は,平成19年3月30日付同社「信頼回復対策会議・業務レベルにおける最終報告『品質管理関連の実態調査』」より抜粋したものである。)。


平成18年
9月      社内構造改革プロジェクト2010P(外部コンサルタントと合同チーム)キックオフ
11月13日 2010P第8回推進委員会の調査報告により,品質管理上の問題点が指摘される。
11月15日 本社生産本部生産部長が埼玉工場にてコンプライアンス遵守の指示


平成19年
1月初旬  外部コンサルタントの文書が外部に流出
1月10日 報道開始
1月11日 第1回記者会見・期限切れ原料の使用,最終製品の期限表示超過,一般生菌数超過品の出荷について公表,洋菓子工場の操業停止と洋菓子店の販売停止
1月13日以降 緊急社内調査
1月15日 第2回記者発表(他にも期限切れ原料使用があったこと等の事実を公表)

○期限切れ原料の使用問題について
2010Pの調査により平成18年11月8日に消費期限が1日切れた牛乳60㎏を用いてシュークリームを製造したこと,その後の社内調査でこの他にも18件(不詳を含む)の期限切れの原材料を使用したことが明らかになった。

○最終製品の期限超過について
 埼玉工場において,プリンの消費期限の表示が,社内調査より1日長く表示されたことがあったことが第1回記者会見で公表された。その後の調査の結果,泉佐野工場で生産したプリンが埼玉工場に送られる体制となった平成16年6月から違反が頻発していたことがわかり,さらにシュークリームにおいても消費期限を社内基準より1日長く表示していたことがあったことがわかり,第2回記者会見で公表された。

○衛生検査体制の不備 
 第1回記者会見時に,埼玉工場において細菌検査で出荷基準に満たないシューロールを出荷したことが公表された。

○鼠や虫などの工場の不衛生
 マスコミに流出した外部コンサルティング会社作成の報告文書には,埼玉工場の鼠発生の問題と,消費期限切れ牛乳の使用の問題が指摘されていた。・・・洋菓子工場の不衛生問題については,昨年(注,平成18年)当初より本社のトップも十分に把握しており,そのためにプロジェクトを立ち上げて改革を進めている最中であったが,食の衛生に対する危機感は薄いまま具体的な取組みも遅れており,社内教育や危機管理体制も不十分のまま,1月10日の報道となってしまった。

【農林水産省プレスリリース概要】

 不二家埼玉工場(所在地:埼玉県新座市野火止4-19-21)で製造されたシュークリーム及び泉佐野工場(所在地:大阪府泉佐野市住吉町3番地)で製造されたシュークリーム及びプリンについて,JAS法第19条の13の規定により定められた加工食品品質表示基準の規定に違反する疑義が生じたことから,平成19年1月18日に,農林水産省及び独立行政法人農林水産消費技術センターは,不二家本社,埼玉工場及び泉佐野工場に立入検査を実施した。

この結果,不二家は,

ア 埼玉工場において,泉佐野工場で製造し埼玉工場に配送されたプリン4種類に,社内基準を1日または2日超える消費期限を表示して,直営店及びフランチャイズ店等に出荷していたこと
 この行為は,埼玉工場において確認された平成17年10月27日から平成18年12月25日までの間,約10万個について行っていたこと

イ 埼玉工場と泉佐野工場は,シュークリームの生産ラインの保守・点検により生産が中止した場合に,相互補完のために補給することとしていたが,平成17年7月10日から11日の間,泉佐野工場は,社内基準を1日超える消費期限を表示したシュークリーム2種類約1万9千個を埼玉工場に製造補給したこと,一方,平成18年10月21日から23日の間,埼玉工場は社内基準を1日超える消費期限を表示したシュークリーム3種類約1万4千個を泉佐野工場に製造補給していたこと

を確認した。

不二家の行為は,直ちにJAS法に違反するものではないが,自ら定めた基準を逸脱するという点において,食品製造に携わる者として極めて遺憾であるばかりでなく,消費者の食品表示に対する信頼を著しく損なうものであることから,農林水産省は今後,このようなことを引き起こすことのないよう厳重に注意を行った。


【コンプライアンス上の問題点】

 平成18年11月までに社内プロジェクトチームの調査によって品質管理上の問題の幾つかが判明していたが,不二家では「マスコミに知られたら雪印乳業(雪印集団食中毒事件)の二の舞になることは避けられない」と隠蔽(いんぺい)を指示する内部文書を配布するなどして,自らは公表しなかった。

結局このことは,洋菓子需要の繁忙期であるクリスマス商戦を乗り切った後の2007年1月10日に,内部告発を受けた報道機関の手により公になリ,不二家の信頼を大きく傷つける事態になった(以上,ウェブサイト「食品会社偽装の歴史」 http://www.news88.net/giso/2007/06/post_14.html より)。

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